里の幸・自然薯の揚げ物

古い時代の地元正月は、二日に朝風呂と自然薯のとろろ汁を頂く習慣があった。朝風呂の由来は素朴な暮らしの贅沢だったと思われて、自然薯は山の土から掘り出す大変さと、独特な粘りと香りがご馳走だったと想像する。
自然薯は大和芋や長芋に比べて細く、しかも真っ直ぐじゃなくて、曲がった部分の砂や石を除くなど、調理前の掃除に手間がある。次に全体に伸びている根を焼き飛ばして(飛び散らかすつもりは無くてもガス台はそうなる)、皮付きのまま摺り下ろす為、ここまでの作業は慎重に丁寧に進める。
摺り下ろした後はダシと生卵で伸ばして、少しの醤油で調味して出来上がる。300~400gの自然薯を頂くまでの作業は、1キロの鯛をお造りとアラの処理に掛かる時間よりも長いと感じられた。昔の山里のご馳走は、有難くても地味だった。
前振りが長くなり、それくらい貴重な自然薯を今年の正月に頂いて保存し、本日午後に調理した。とろろ汁は後日にし、茎と小さな部分を揚げてみた。熱々のうちはホクホクして美味しく、冷めると予想外に硬く締まる。牛蒡に似た外観の茎は、もっちりと噛み応えがあり乙なお味だった。ご馳走様でした。では、また明日
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