第28回日本新工芸展

陶芸家、阪口浩史先生から工芸展のチケットを頂き、作品を拝見した。教室で使っている向付のうち数点は、先生のお作、千鳥形の粉引きが一番活躍している。
チケットには「多様化する工芸美術の中にあって、美と生活の調和を共通テーマに、生活を豊かにするための造形美を創造する、陶器、磁器、鋳金、漆、染色をはじめ木、竹、人形、七宝など日本新工芸家連盟の担い手たちの意欲作約150点を展観いたします」とある。
物を所有する部分については、日本の生活は平均的に、充分豊かになったと思う。過去の物の無い時代でも、生活の質の高さを求められる方々がいらっしゃった。そのお陰で日本の伝統や文化が育ってきたと思う。
「質」を見極めて対価を支払うことの出来る方は、どれ程いらっしゃるのだろうか。物や情報が溢れるほどある時代に暮らして、本当の豊かさはどんなことかと考える。もちろん個人差があるけれど。
阪口先生の作品は、おおらかで優雅な造形に深い緑釉が美しかった。師匠の近田先生を亡くされ、2年ほどの間で随分、力をつけられた。意志の強さが伝わってくる作風だった。