鯛の鯛

金目の金目

20代前半の料理を習い始めた頃、どんな些細なことも、新鮮な情報に思えて感動していた。「鯛の鯛」を知ったのは室生犀星の長女、室生朝子さんの随筆の中だったと思う。
金沢市生まれの詩人・小説家、室生犀星との暮らしと、食生活が書かれた文章を読むうちに、金沢とその食文化に興味を持って、その頃は何度も金沢に出掛けた。
鯛の鯛」は、どんな魚にもある。胸ヒレの元にある平らな骨のことで、本体の魚の形に似ている。小型の魚、鯵などにもあるが、鯛ほどの大きさの魚なら見落とさない。
写真は今日の昼食に頂いた金目鯛のそれ。「金目の金目」ってことになる。金目鯛の身は柔らかく甘い。お造りも美味しいが、一夜干が自分の好み。
格好のサイズを見つけると一夜干にする。鮮魚店で「一夜干なんて、アンタ勿体ないことするねぇ」と嫌な顔をされるが、好きにさせて欲しいわよぉ〜。